空き家問題を考える
現在の空き家数はおよそ900万戸と過去最多となり、空き家問題は全国的に深刻化しています。
今回は、深刻化する空き家問題の現状と対策や空き家の活用事例についてご紹介いたします。
日本全国で深刻化する空き家問題とは?
総務省が発表した2023年10月時点の住宅・土地統計調査によると国内の住宅総数
に占める空き家の割合は過去最高の13.8%でした。空き家のうち賃貸・売却用や別荘
などを除いた、長期にわたって使用目的がない「放置空き家」は385万戸と、2003年
からの20年間で1.8倍に増えました。
空き家が増えている原因
高齢化・人口減少
人口や世帯数が減少すると必要な住宅数も減少し、住宅数が充足します。
相続問題・活用が難しい
相続により取得した空き家に自身が住むことができない場合や、老朽化により活用が難しいと放置されてしまいます。
固定資産税の問題
空き家を解体して更地にしてしまうと住宅用地の特例が適用できず、固定資産税が最大6倍にまで上がってしまいます。節税目的でそのままにしておこうと考える人が多いことも一因になっているでしょう。
空き家物件の売買・賃貸に関する法令の改訂
2024年7月1日から【宅地建物取引業者の報酬規程】が改訂されました。
【売買取引に係る報酬額】
売買の物件価格が800万円以下の宅地建物は、売主からの報酬上限が19.8万円から33万円へ引き上げられ、さらに買主からも最大33万円の報酬を受け取れるようになりました。
【賃貸借取引に係る報酬額】
長期空き家等の媒介特例が創設されたことにより、貸主からの報酬において原則の上限を超えて「合計で1ヶ月分の賃料×2.2」に報酬額が改訂されました。
国や自治体の空き家対策
①特別控除で税制支援
空き家の発生を抑制する施策の一つとして、国は空き家の譲渡所得税に対する3,000万円の特別控除による税制支援を行っています。
②空き家バンクで活用を促進
全国の自治体の約7割が、すでに空き家バンクを設置しています。この空き家バンクを活用すれば、空き家の所有者と空き家が必要な方をマッチングできます。
③安心R住宅制度
国が「中古住宅購入者が安心して購入できる住宅」と認めた住宅で、耐震性があり、建物の状況調査を実施済みの中古住宅のことです。中古住宅の売却時には、購入者へアピールすることができます。
空き家の活用事例
■リノベーション
一般住宅はもちろん、カフェ・レストラン・プチホテル・工房・アトリエ・シェアオフィス
など目新しさと個性のある賃貸物件として貸し出すことができます。
■地方移住サポート
地方自治体のお試し移住体験の宿泊先としての活用や、近隣の農業や酪農へのお試し体験宿泊施設運用などの地方創生に関した新しいビジネスニーズがあります。この方法では、家屋を使えるようにするための補助金が使える事例が多いため、ある程度の期間空き家としての可能性を探ってから、売却を含めた土地活用をする準備としても使えます。
■デュアルライフサポート
デュアルライフとは、「平日は都心で仕事中心、週末は田舎暮らし」というような、生活を2拠点以上に分けた暮らし方のことです。新しい賃貸需要に対応させることで、空き家解消につなげます。
空き家問題は全国的な社会問題になっています。空き家は今後も増加して行くと考えられるでしょう。放置された空き家は劣化し、周辺地域の環境に悪影響を与えてしまうことがあります。発生した空き家を適切に管理・活用することが、問題解消の第一歩となるでしょう。
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