民法120年ぶりの大改正:オーナー様が知っておくべき項目
前回少しお話した民法改正についてもう少し細かくご紹介いたします。
2017年に国会で可決された民法改正ですが、2020年4月1日に施行の運びとなっております。
今回は、不動産取引に関して特にオーナー様に重要と思われる項目についてご説明します。
1.賃借人の修繕権
今後このような事例が想定されます。
Q 新しい民法では、賃借人に『修繕権』(※1)があると聞きました。 この点について実務上、今後どんなことに気を付けたらいいでしょうか?
A 新しい規定は任意規定ですので、賃貸借契約でどんな場合に賃借人が修繕できるのかを決めておいた方がよいでしょう。
※1『修繕権』とは借主が自ら修繕を行う権利
~ 改正内容 ~
(1)どんなトラブルが予想されるか
◆新しい民法では、①賃貸人が必要な修繕をせず、②緊急の場合は、賃借人が賃貸不動産を修繕できることになりました。
◆ただ、『賃借人が修繕できる』ことになると、①そもそも修繕が必要なのか、②修繕の範囲や内容は妥当か等について、貸主・借主の間で修繕代金の負担で争いになってしまう、ということが予想できます。
(2)トラブルの防止のためには
◆賃貸借契約で以下のような点を予め定めておくべきでしょう。
例えば・・・
☑どんな場合に賃借人が修繕権を行使できるか(行使条件)
☑修繕がどこまで認められるか修繕の範囲:
例 (小修繕に限定する、増改築禁止など)
☑手続をどうするか
「事前に見積を提示しなければならない」
「賃貸人へ事前に通知しなければならない」
「賃貸人の事前の書面による承諾を得なければならない」
2.一部滅失の場合の賃料減額
今後このような事例が想定されます。
例えば・・・
Q 入居者様から「雨漏りで2Kの部屋の一室が使えなくなったので、 修理が済むまでは賃料は半分しか支払わない」と言われてしまいました。
A 新しい民法では、貸室の一部が使えなくなった場合、その分「当然に」賃料が減額されることになりました。
ただし、「使えなくなったこと」が賃借人のせいではないことを、賃借人が証明する必要があります。
~ 改正内容 ~
(1)賃料が当然に減額されてしまう。
◆これまでは、使用不能となった部屋があっても、借主は貸主へ賃料の減額を請求できるだけでしたが、 これからは当然に賃料が減額されることになりました。
◆当然減額となる条件は、
① 貸室が一部使えなくなった
② 使えなくなったことが賃借人のせいではない場合です。この場合、使用不能になった部分に相当する賃料が当然減額されることになります。
(2)これから気を付けるポイント
☑ 新しい民法の下では、不動産の管理をする会社としては、『修繕依頼が来たら、できるだけ早く修理をしたほうがよい』ということになります。
☑ ただし、どんな故障でも賃料が減額されるわけではありません。 貸室の一部が使えなくなったとしても、賃料の当然減額を主張する賃借人は、
『その原因が賃借人のせいではないこと』を証明する必要があります。
たとえば、
「雨漏れが生じたのはサッシのシーリングが劣化したからで、賃借人の使用が原因ではないこと」などを証明することになります。
ポイント!!
今回は、賃貸借契約に関するポイントをいくつかご紹介しました。
賃貸住宅経営に非常に大きな影響を与える法改正になりますので、しっかりとポイントを把握し、対策を講じる準備を進めましょう。
売買:管理はピタットハウス保谷店へ!!
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